シールドデッキ構築 斉藤 友晴(東京)の場合 by Shimizu Naoki

「この環境差がつきづらいんですよね」


昨年度POY獲得、更に今年度もPOYを目指しGP遠征を繰り返している生粋のプロプレイヤー、斉藤友晴。
彼は間近に控えるリミテッドグランプリ、GPブリュッセルに備え練習をするため、少しでも多くのブースターを集めなければならないのである。1回の8人ドラフトが全員で24パック必要とすることを考えると、かなり骨が折れる。
冒頭の台詞は斉藤が開口一番に発した言葉だ。彼は昨日東京板橋のプレリリースに参加したがあまり結果はふるわなかったと言う。


「皆友好色5つの組み合わせのなかから選んで構築するから、あまり色間違えちゃう人とかいないんだよね。
だからあんまりデッキ同士の強さに差ができないんだ。」
なるほど、例えばローウィンのシールド戦では《鮮烈な小川》などを利用すれば「実は4色も余裕」ということを知らないプレイヤーと知っているプレイヤーでは大きな差があったものだ。


斉藤のパックに目を移してみる。
目立ったレアは・・・
《苔橋のトロール
あの+20/+20で話題になった怪物である。ふと横を見れば、隣で構築している渡辺 雄也(神奈川)のプールにもこのトロールの姿がある

《萎れ葉のしもべ》
緑白混成の「しもべ」 4マナ4/4であり、緑と白のクリーチャーを強化する能力と手札破壊への耐性をもつ。


所謂「爆弾」と呼ばれるような「最強」カードたちではないが、レアの引きはまずまずといったところ。
ちなみに斉藤に環境最強カードを聞いてみると・・・


「ピンポンパンでしょ(《増え続ける荒廃》)。あれは強すぎる。カボチャの賞味期限が切れたらあんなに強くなっちゃうとか(笑)」
なるほど、ローウィンの《増え続ける成長》のカボチャが腐ったように見えなくもない。


コモンのほうに目を移すと
《痕跡焼き》が2枚に《彼方地のエルフ》。
「《痕跡焼き》はシールドではあんまり共謀できないからそこまで強くないかな。でも《彼方地のエルフ》はマナブーストとして強いし、是非欲しいコモンだね。」

この環境では色サポートが意外に少ないこともあるので、確かに《エルフ》は重宝しそうだ。
デッキ全体のマナカーブは、4マナが若干多いがシールドであることを考えれば許容できるレベル。むしろ良いといっていい。

メインカラーは緑白で《萎れ葉のしもべ》を中核に。除去のために赤を散らした形になった。


斉藤は土地を18枚に決め、最後の1枚に悩む。
「んー、《上機嫌の破壊》(エンチャント・アーティファクト破壊)とか使うのかなー。」


そんなとき、カードの間からひょっこり赤いカードが。

そのコストは2/R 2/R 2/R。《炎の投げ矢》である。

「これ入るじゃん!忘れてた(笑)」
一瞬タッチでは入らないのではないかと思わせて、実は無色でも撃てたりする。シャドウムーア環境ならではである。


完成したデッキはこちら。

8《平地》
3《山》
7《森》
『白』
《バリーノックの軍勢》
《審問官の罠》
《今わの際》
《光り輝く導師》
《安寧砦の歩哨》
『赤』
2《痕跡焼き》
《炎の投げ矢》
『緑』
《彼方地のエルフ》
《狐火の樫》
《苔橋のトロール
《野生薙ぎのエルフ》
『白/青』
《引き霊気》
《魔法をまわすもの》
《絹縛りのフェアリー》
『黒/赤』
《悲嘆の暴君》
『緑/白』
《樹皮殻の祝福》
《エルフの呪詛狩り》
《安寧砦の二人組》
《安寧砦の精鋭》
《萎れ葉のしもべ》


目標は0−1、それか全勝とのこと。
「負けたら次行くよ。」
果たしてPOYはこの強豪ぞろいのシールドトーナメントを6−0で駆け抜けるのか。