My First Draft:北山雅也 By Kawasaki Daisuke
多数の参加者に恵まれ、熱気に包まれたこのプレリリース会場。
しかし、そんな会場の中で、なぜかどんよりとした空気の漂う一帯が…中島主税をはじめとして、大塚高太郎・北山雅也・有留知広といった、60パックトーナメントで早々に2敗し、ドロップをした面々だ。
といっても、このプレリリース会場、当然ながらおこなわれているのは60パックトーナメントだけではない。カジュアルトーナメントをはじめ、ドラフト・ウィンストンと様々なイベントがおこなわれているのだ!
そんななかでも、シャドウムーア環境のドラフトは、過去でも類を見ない混成カードばかりの環境と、非常に注目のレギュレーションとなっている。
このシャドウムーアのドラフトに、日本チャンピオン北山雅也が挑戦するというのだから、筆者もうれしくて飛び出してきてしまったというわけだ。
北山「いやー、正直レア取りしたかったんですけどねー」
はたして、北山はこの多色環境をどう料理してくれるのか。
■1st Pack
1ピック目:《偶像の石塚》
他候補:《禁固刑》《侵入の追い返し》《拷問》
北山「やったー!」
と、レアを見たとたんに大喜びの北山。たしかに、シャドウムーアのレアの中でも、注目のフィルターランドをゲットできたのは、「レア取り」を宣言していた北山としては大きいだろう。
しかし、それが、唯一の再録である《偶像の石塚》なのが、北山らしいところ。
2ピック目:《彼方地のエルフ》
他候補:《小走り犬》《粉々》
しかし、2手目ではうって変わって、多色環境をサポートするこの強力なエルフをピックした北山。
最後まで悩んだもう一方のカードも《小走り犬》と、相当この多色環境には注目している様子だ。
3ピック目:《魔法を回す者》
他候補:《砂利エラの二人組》《ぼろ布食いの二人組》
ここまでのシールドでの経験上、「この環境のリミテッドはオーラゲーだ」と語る北山は、その「オーラゲー」でこそ圧倒的な力を発揮するこの《魔法を回す者》をピック。
この時点で、なんとなく白緑の方向性はあったという。
北山「むしろ、オーラゲーだからこそ《大霊の盾》使いたかったんですよね!」
4ピック目:《種かごの魔女》
他候補:《ルーン馬乗り》《汚れ背の匪賊》
5ピック目:《安寧砦の二人組》
他候補:《侵入の追い返し》《大神のルーン》
6ピック目:《種かごの魔女》
他候補:《薬の走り手》
7ピック目:《燃えさしの突風》
他候補:《猛火茨のカカシ》
8ピック目:《閉じ顎の噛み付き》
9ピック目:《たなびく純白》
10ピック目:《年老いた恐樹皮》
11ピック目:《剥ぎ取り》
12ピック目:《困惑する策謀》
13ピック目:《大神のルーン》
このような感じで進んでいった1パック目。
北山「白緑というコンセプトは大体確定してましたね。《燃えさしの突風》がとれたので、タッチ赤で、小さいクリーチャーでビートして《燃えさしの突風》でとどめっていうコンセプトが大体きまっていました。」
しかし、ひとつ懸念材料が…
北山「正直、《種かごの魔女》以外に軽いカードをほとんど取っていなかったんですよね…」
はたして、これが今後のピックにどう影響するのか。
■2nd Pack
1ピック目:《曲がりくねりのロシーン》
他候補:《大霊の盾》
本日最初のポイントは、やはりここではないだろうか。
《大霊の盾》を使用したいという理由で白緑をピックしていた北山だったが、ここで、コストパフォーマンスの高さ(4マナ4/4)を重く見て、《曲がりくねりのロシーン》をピックする。
北山「この時点で、あまりクリーチャーの質が確保できていなかったので、オーラよりも、パフォーマンスがいいクリーチャーをピックしました…1パック目でもう少し軽いのを確保できていれば、違いましたね…」
環境は、かなり重いカードがおおいため、逆に軽いビートが有効と考えた北山は、この2パック目では、マナコストの低さを優先し、かなりのパワーカードを流している。
2ピック目:《ルーンの馬乗り》
他候補:《飢えたスプリガン》《火の力》
3ピック目:《安寧砦の歩哨》
他候補:《ゴンドの存在》《キスキンの扇動者》
たとえば、ここでは色のあったパワーカードである《ゴンドの存在》よりも、《安寧砦の歩哨》を優先している。
4ピック目:《バリーノックの軍勢》
他候補:《霧への変化》《野リンゴの軍勢》
5ピック目:《安寧砦の精鋭》
6ピック目:《お祭り歌の角笛》
7ピック目:《飢えたスプリガン》
他候補:《編み上げ直し》
8ピック目:《掻き集める梢》
9ピック目:《光り輝く導師》
10ピック目:《魔力変》
11ピック目:《傷跡》
12ピック目:《粉々》
13ピック目:《沈む感覚》
北山「正直、もうちょっと軽いカードをどこかで拾えてれば、パワーカードをふやせたんですけどね…」
環境をまだ把握できていない弱点が、ここで大きくのしかかってきた。
■3rd Pack
1ピック目:《火炎竜巻》
他候補:《火群れのどよめき》《レイヴンの竜騎兵》
3パック目のファーストピックは、《硫黄破》もどきと名高い《火炎竜巻》。ここまで、タッチの赤のカードをどれくらい増やすかで悩み、結局ほとんど赤のカードを取らないで来た北山だったが、さすがにこのカードはピック。
2ピック目:《献身のドルイド》
他候補:《栄華の防衛》《ぼろ布食いの二人組》
3ピック目:《安寧砦の歩哨》
他候補:《霧への変化》《破れ翼トビ》
4ピック目:《刺す稲妻》
他候補:《堕落》《つまみ食い貯め》
そのご、これといった爆弾カードは登場せず、北山は延々とマナカーブを調整する作業を進める。
5ピック目:《今わの際》
他候補:《ピリ=パラ》
6ピック目:《安楽死》
7ピック目:《大霊の盾》
他候補:《今わの際》
ここで、除去が3連続で流れてきたので、一気にデッキの動きがよくなるところだった北山だったのだが…2枚目の《今わの際》と共に流れてきたのは《大霊の盾》。
ここは、悩んだ末に《大霊の盾》をピックした北山。
北山「やっぱ、2パック目のファーストピックが難しかったですね…どっちが正解だったんだろう…」
8ピック目:《神格の鋼》
9ピック目:《屑鉄カゴ》
10ピック目:《狐火の樫》
11ピック目:《年老いた恐樹皮》
12ピック目:《呪文の吸い取り》
以上で、北山のピックが終了した。
北山「正直、そうとう難しい環境ですね…これは相当練習しないと厳しい。たぶん、練習の量とか技術の差が出やすいんじゃないですかね。」
■デック構築
ここで、デックを構築することにした北山だが…やはり赤をタッチするかどうかが難しいという。
最終的には、《燃えさしの突風》を抜いて、純粋にクリーチャーをオーラで強化するというコンセプトにしたのだが…
北山「《汚れ背の匪賊》をとっておけばよかったですねぇ…《大神のルーン》は赤いクリーチャーにつけないと、やっぱ物足りないんですよね、重さ的にも…」
ということで、かなりコンセプトが難しい様子。
最終的に、「飛行だけでも十分だから」と《炎渦竜巻》を採用。向上呪文をいかすために、《山》を一枚だけタッチした。
出来上がったデックがこちら。
北山雅也のデック
《平地》×8
《森》×8
《山》土地 17枚
《種かごの魔女》×2
《安寧砦の歩哨》×2
《安寧砦の精鋭》
《献身のドルイド》
《彼方地のエルフ》
《飢えたスプリガン》
《バリーノックの軍勢》
《安寧砦の二人組》
《曲がりくねりのロシーン》
《ルーン馬のり》
《屑鉄カゴ》
《年老いた恐樹皮》×2
《魔法を回す者》クリーチャー 16枚
《炎渦竜巻》
《たなびく純白》
《今わの際》
《お祭り歌の角笛》
《安楽死》
《大霊の盾》
《神格の鋼》呪文 7枚
「難しかった」を連呼するわりには、通りがかった坂東が「美しいマナカーブじゃないか」というほどの、デックが出来上がった。さすがは日本チャンピオンというべきか。